国指定重要有形民俗文化財
蓋井島「山ノ神」の森
四か所(3782㎡)
指定年月日 1960(昭和35)年10月11日
ここ蓋井島には「山ノ神」を祀る四つの森が存在します。 四つの森は、それぞれ「一の山」「二の山」「三の山」「四の山」と呼ばれ、集落の後ろに広がる豊かな原生林に点在しています。
古来、この「山」と呼ばれる森は神聖な場所として、立入ることも枯枝を拾うことも、まして枝を切ることも堅く禁じられてきました。この「山」を中心に六年に一度、島をあげて神事が執り行われ、その際にのみ山に入ることが許されています。
それぞれの山には「山ノ神」が鎮まる神籬(ひもろぎ)があります。この神籬は切り取った枯れ枝や倒木を円錐状に組み上げた特徴的な姿をしています。
蓋井島の「山ノ神」は、穀霊祭祀に加え島内各家の祖先がそれぞれ四つの「山ノ神」の森に帰属するという祖霊祭祀とも関連付けられていることが特色です。
この「山ノ神」の森は、古い信仰の形態を具体的に伝えており、人工の「やま」以前の自然の「やま」の姿を如実に示す重要なものとして、国により重要有形民俗文化財に指定されています。
なお、神事についても国により、記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財『蓋井島「山ノ神」神事』として選択されています。
平成21年10月21日
山口県教育委員会
下関市教育委員会
2018年(平成30年)11月23日(金)
1日目「神迎え」
島内の四つの森に祀られている山ノ神を、各組を代表する「当元」の家に迎えます。
24日(土)2日目
「大賄い」
山ノ神を山海の幸でもてなし、来客とともに食事を楽しみます。両端が細くなっている箸を使う理由は、もう一方で神様が食事をされるからです。これを「神人共食」といいます。
25日(日)3日目
「神送り」
神職が当元の家「神の間」で、刀で空を切り、75個の浜の小石を捲き、杵で空臼をつきます。 これは「神が家に残っていてはいけない」とされることによります。
各々の当元の家で儀式を行ったあと、森に移動して「神鎮め」の儀式が行われます。
枯れ木などを組んで作った神籬(ひもろぎ)に、当元の祭壇から持参した御幣を入れ、縄を巻きつけます。
神籬の前に75個の膳と箸を並べて餅を供えて、祝詞を上げて神を鎮めて神事が終わります。
【詳細】
下関市史 -民俗編- P.458~
蓋井島の山ノ神神事
市内図書館、公民館などで閲覧できます。
辰と戌の年に催される6年に1度の祭りで、200年以上の伝統があります。
神事は全世帯を「山」と呼ばれる四つの組に分け、工夫を凝らした「ツクリモノ」で森を飾ります。
山ノ神神事のツクリモノは、祭りの山・出し物で飾る原点とされています。